ハンドリガード   −−− てのひらをかざして −−−
Essay By Hisa Photo By Icchiy


今日、私は自分の「手」という物の存在を知った。

私が自由に、私の意志で、この ぎゅっと握ってばかりいる小さなミルク臭いこぶしを、そっと開いたりコントロールできていることに、今日 突然気がついた。
なんだか、動く。
指がゆっくり、動かせる。
私が動かしているのか?
自分の思うままに。

そしてまた、ゆっくり閉じてみる。
なんだか不思議だ。
じっと両手を見つめる。

今までは、きっと無意識にやっていた。
だけどこれは自分の意志で動くのだ。
これが、私の手…?
自在に動かせる魔法の手。
なんて面白い。
窓辺から差し込む 淡く黄色い光のかけらや、
キラキラする埃に手をのばして掴んでみる。
地上に誕生して二ヶ月余り。
私はやっとこの程度のことが、なんとなく分かってきたようだ。

ハンド・リガード。
初めて自分の手を見つけた日…。

この小さな ぎこちない手で、これから私は何を掴もう。

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